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ハワイアンモンクシールに近づかないで!観光客が島民を怒らせた行為

下記の行為は、アメリカ人観光客が実際にハワイで行ったことです。

  • カメハメハ大王像の台座に乗って写真撮影
  • ハワイアンモンクシールやウミガメ(ホヌ)に触っている様子を動画で撮影し、SNS(インスタグラムやTikTok)に投稿

こういった行為に、ハワイの島民は激怒しており、デビッド・イゲ知事も怒りの声明を出しています。

ハワイアンモンクシールやウミガメ(ホヌ)などは、NOAA(National Oceanic and Atmospheric Administration:アメリカ海洋大気庁)で保護されています。

ホノルルスターアドバタイザーの記事(英語)

本記事では、ハワイアンモンクシールについて説明し、ハワイに行ったときに見かけても近づかないように注意喚起します。

今回は、ハワイアンモンクシールの保護活動をされているハワイ州公認ツアーガイド、Keiko Moriさんから写真や資料をご提供いただきました。

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ハワイの島民を怒らせた行為

HAWAII NEWS NOWの動画を見ると、島民を怒らせたSNS投稿が一部出てきます。

そのうちのひとりが、騒ぎになったことを知り、SNSに謝罪文を投稿しました。

(現在は、謝罪文を投稿した人のアカウントを見ることができません)

「カリフォルニアでは、桟橋からアザラシに魚を与えることができるから、知らなかったんだ。僕の古い投稿を探せば、カリフォルニアでアザラシと一緒に撮った写真があるよ」と書いてありました。

ハワイアンモンクシールは1,400頭しかいない絶滅危惧種なので、ふつうのアザラシとはちがいます。

HAWAII NEWS NOWのインスタグラムから、別の女性がTikTokに投稿した動画のスクリーンショットを見ることができます。

 

 
 
 
 
 
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この女性には500ドルの罰金が課せられました。

Visitors who touched monk seal fined $500: https://t.co/xPdkuW4mC0 pic.twitter.com/hyf07pCMXG

— Star-Advertiser (@StarAdvertiser) July 29, 2021

ハワイアンモンクシールとは

ハワイアンモンクシール(Hawaiian monk seal)

 

 
 
 
 
 
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Keiko Mori [ハワイ州認定のツアーガイド](@iliokai_hawaiian_monk_seal)がシェアした投稿

モンクシール(monk seal)とは

keiko mori and mockup
ハワイアンモンクシールの保護活動をするKeiko Moriさん。写真のモンクシールは模型です。

シール(seal)とは、英語でアザラシ、アシカ、オットセイを指す言葉です。

モンクシールはアザラシの一種で、モンクアザラシとも呼ばれ、下記の3種に分類されます。

ハワイアン・モンク・シールは、世界で最も絶滅の危機に瀕している海洋哺乳類のひとつであり、アメリカの海では最も希少なアザラシやアシカです。モンクアザラシから少なくとも50ヤード離れてください。コナのKe Kai Ola施設では、多くのモンクアザラシを救出し、リハビリテーションを行っています。

ESA*、MMPA**、+S***

ポノプレッジのウェブサイトより引用(和訳)

*ESA:Endangered Species Act(絶滅の危機に瀕する種の保存に関する法律)

**MMA:Marine Mammal Protection Act(海洋哺乳類保護法)

***+S:ハワイ州

ハワイアンモンクシールの保護については、ESAMMAハワイ州法によって規定されています。

ハワイアンモンクシールの個体数

このうち、ハワイアンモンクシールは、ハワイ北西部(無人島)に1,100頭、ハワイ諸島に300頭生息します。

ハワイ諸島に生息するハワイアンモンクシールの内訳は、モロカイ島にもっとも多く、ニイハウ島にも多く生息します。

オアフ島には45頭(2021年4月現在)生息し、(個人所有のニイハウ島以外は)すべての個体が保護団体の管理下にあり、番号と名前が付けられています。

ハワイアンモンクシールは、別の島に引っ越したり、別の島から引っ越してきたりします。

引っ越しが発見されるたびに保護団体がNOAAに報告しており、各島にいるハワイアンモンクシールの頭数が把握されています。

ハワイアンモンクシールがビーチにいるとき

hawaiian-monk-seal
Rocky, RH58/RH59母モンクシール。クリックで拡大。ブラウザーの「戻る」で戻れます。

お昼寝のじゃまをしないで!

ハワイアンモンクシールは、夜活動し、海でエサを取ります。

ハワイアンモンクシールがビーチでじゃまをされず安全に休息をとることはとても大切です。

見かけたら15メートル以上の距離を取ってください。

NOAA Fisheries によれば、一般の人がモンクシールを見る場合は50フィート、母親と一緒にいる子の場合は150フィート(=50メートル)の距離を保つ必要があります。

目安は親指

親指のルールというのがあります。

腕を伸ばした状態で親指を立てたとき、ハワイアンモンクシールが親指の中に隠れて見えないくらい離れるということです。

野生動物を守ることは人間を守ること

ハワイアンモンクシールの保護活動をするハワイ州公認ツアーガイドのKeiko Moriさん。クリックして拡大すると左奥にモンクシールの母子がいます。

上の写真をみると、保護活動をしている人でさえ、モンクシールが小さく見えるくらいの距離から観察していることがわかります。

不用意に近づくと人間も危険です

ハワイアンモンクシールに近づくと、怒るかもしれませんし、噛まれることもあります。

実際に、今回問題になったTikTokでは、急に触られて驚いたモンクシールが怒り、女性がびっくりして逃げる様子が映っていました。

母は命がけで子を守る

子どもを生んで育てている母は、子を守るために攻撃的になります。

人間の子どもが無邪気に近づいてしまうと危険ですので、お子さま連れの方はとくに気をつけてください。

人間だって同じですよね。

生まれたばかりの自分の子どもに、知らない人が近づいてきて触ろうとしたら、必死で子どもを守るでしょう。

しっかりと距離を取ることは、人間を守るためでもあるのです。

犬の散歩はしっかりとリードをつなぐ

観光客が犬の散歩をすることはあまりないと思いますが、犬の散歩をするときは、犬がモンクシールに向かって走り出さないよう、しっかりとリードをつなぎ、離さないでください。

ハワイアンモンクシールのツアー(Kittie Travel)で配布している資料から

[st-midasibox-intitle title="ハワイアンモンクシールのツアー(Kittie Travel)で配布している資料から" fontawesome="fa-exclamation-circle faa-flash animated" bordercolor="#f44336" color="" bgcolor="#ffebee" borderwidth="" borderradius="5" titleweight="bold" myclass=""]

  • アザラシを見た時、距離を置いてアザラシが寝ている, 脱皮する, 子供を産む, 子供を育てるなどを見守って下さい。
  • アザラシを見るときは15 メートル以上距離を置くか、アザラシのサインやロープの中に入らないようにして下さい。親指のルールを使いましょう!
  • 飼い犬はいつもリーシュに繋いでアザラシの方へ駆け出さないように管理してください。
  • 海の中ではアザラシに近付いたり一緒に遊んだりしないで下さい
  • アザラシを野生動物としておくために餌を与えたりしないで下さい
  • アザラシは米国とハワイ州から保護されています。アザラシが海岸で邪魔されず安全に休息をとることはとても大切です。
  • もし、アザラシの写真をフェイスブックやインスタグラムなどに載せるときはアザラシの所在地を記入しないで下さい。友人や知人に話すときも同様です。
  • アザラシを海岸で見かけたら必ず NOAA ホットラインに電話で連絡して下さい。 電話番号: (888) 256-9840 又は (808) 220-7802

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正義の誓い(ポノプレッジ:Pono Pledge)

今回の騒ぎを受け、ハワイ行きの飛行機に登場したとき、レンタカーを借りるとき、ホテルに着いたときなどに「教育が必要だ」という話や、ポノプレッジという誓いを立てることも検討されているようです。

私は、ハワイの島でポノで(正しく)あることを誓います。
私は新しい発見を探求しますが、自分が立ち入るべきでない場所には入りません。
私は、身の危険を冒してまで素晴らしい景色の写真を撮ったり、禁止区域に立ち入ったりしません。
私は大地や海を大切にするし、野生動物は離れたところから眺めます。
溶けた溶岩に魅了されても、その流れを妨げるようなことはしません。
私は自分のものではないものを奪ったりせず、溶岩石や砂を本来ある場所から持ち出しません。
私は海の状態に注意し、海に背を向けたりしません。
マウカ(内陸)で雨が降っているときは、私は河川から離れた高い場所で安全を確保します。
ハワイの人々が大切に守りつづけてきた大地を、私は敬い、大切にします。
E’apo i ke a’o ho’ohana, a e 'oi mau ka na’auao.
ハワイの知識を身に付け、より深いものにします。

ポノプレッジウェブサイトより引用(一部改変)

アメリカの海洋哺乳類保護法

1972年に制定された海洋哺乳類保護法(MMPA)によって、3つの連邦機関が責任を共有しています。

NOAA(ノア) Fisheriesは海洋動物を保護している団体で、クジラ、イルカ、ネズミイルカ、アザラシ、アシカの保護を担当。
米国魚類野生生物局(U.S. Fish and Wildlife Service)は、セイウチ、マナティー、ラッコ、ホッキョクグマの保護を担当。
米国海洋哺乳類委員会(Marine Mammal Commission)は、海洋哺乳類とその生態系への人間の影響に対処する連邦政府機関の国内および国際的な政策と行動を、科学的根拠に基づいて独立して監視。

NOAA Fisheriesウェブサイトより抜粋(和訳)

NOAAの保護活動

タグを付けてハワイアンモンクシールの個体数を把握

タグはハワイアンモンクシールのフリッパーに付けます。

フリッパー(Flipper)とは、人間でいえば足の部分で、左右1枚ずつあります。

左右別々にタグを付けるので、番号は1頭のモンクシールに2つあります。

ハワイアンモンクシールにはどうやってタグを付けてるの?

ハワイ諸島で生まれ、母親に育てられたハワイアンモンクシールの子どもには、まだタグが付いていません。

NOAAの担当者が子育て中にずっと観察しています。

母親が旅立った後にNOAAの担当者がタグを付けます。

母親は旅立っても、心配になって一旦我が子のもとへ帰ってくることがあります。

そのときにNOAAの担当者が子どもに触っていると、母親は子どもを守るために攻撃的になりますので、母親が旅立ったあと、1日以上経ってからタグを付けます。

タグの番号

生まれた年ごとに決まっているアルファベット1文字と2桁の数字で構成されます。

生まれた年ごとのアルファベット(一例)

生まれた年記号
2010T
2011K
2012L
2013N
2014F
2015G
2016H
2017J
2018K

たとえば、2018年に生まれたケオラカイの番号は、K80/K81です。

K80のタグが左のフリッパーに、K81のタグが右のフリッパーに付いています。

北西部ハワイ諸島

ハワイ諸島」といっても、実はみなさんが知っている島のほかに、「北西部ハワイ諸島(Northwestern Hawaiian Islands)」というのがあります。

西はミッドウェー島、東はニホア島の間にある小さな無人島群です。

northwestern_hawaiian_islands
北西ハワイ諸島

みなさんがご存じのハワイ諸島有人島)で発見されたハワイアンモンクシールには、「R」が付いています。

また、ハワイ諸島有人島)で発見されたハワイアンモンクシールには、ハワイの子どもたちから募集したニックネームが付いています。

例)2019年5月12日生まれのRL36/37のニックネームは「マコア」

まとめ

monk-seal-sign
2019年にMakoa、RL36/37が生まれた時のサイン

本記事では、複数のアメリカ人観光客による行為が、ハワイの人々を怒らせたことを受け、ハワイアンモンクシールについて書きました。

「何メートル離れるか」については、NOAAやポノプレッジなどで相違がありますが、実際に距離を測ることはできませんので、目安として親指のルールを守っていただければと思います。

今回の件は、ハワイアンモンクシールだけではなく、ホヌ(ウミガメ:Green Sea Turtle)に触っている投稿もありました。

ハワイ州では州法で保護されていますが、ホヌ(ウミガメ)は10フィート (3メートル)の距離を取ることになっています。

今回の件に関しては、法的措置に訴える方向に進んでいますので、知らなかったかたはよく覚えておいてください。

さいごまでお読みいただきましてありがとうございました。

運が良ければハワイアンモンクシールに会えるかも